【錢屋商店モノがたり vol.003】お気に入りの器で食卓を彩る
2022年11月にオープンしました錢屋本舗本館オンラインストア『錢屋商店』。ここでは、わたしたちが発信する価値観のもと選んだモノについて語ります。
今回は丹波焼 雅峰窯をご紹介します。印象に残るトルコブルー、食卓を穏やかにしてくれる艶感のあるブラウン。色彩からも心惹かれますが、やはり手仕事でつくられた器はあたたかみがあります。
技術が進歩し、機械化・工業化されたもののひとつでもある「器」。量産体制は整えられたかもしれませんが、そればかりが良いとは思えません。丹波焼は日本六古窯の一つに数えられ、丹波地域の産業を支えたことも事実だと思います。そこで受け継がれる技術と現代のわたしたちの食卓にもなじむように、と考えられたデザイン。和食だけに限らず、様々な食材や料理に寄り添うよう作られています。
今の時代、毎日家庭料理を作って食べる暮らしができている人は多くないでしょう。もちろん理想としては、何品目かつくり心も身体も満たされることを望んではいます。ただ、わたしも1〜2品つくる事が精一杯の日がほとんど。ただ、お気に入りの器を選ぶ時間は、時間に追われていたことも忘れさせてくれる、癒しのひとときとなるのです。いわゆる時短で作った料理に、最後の魔法をかけるような気持ちです。
お気に入りの器に盛られた料理は、なんだか「見て!」と言わんばかりに自信ありげな様子。その姿を見ると、食材の作り手に感謝すると同時に器を作ってくれた人に感謝する、そんな気持ちが芽生えます。
職人さんに手で作られた器は単なる“容器”ではないのです。私たちの芸術性も養ってくれますし、日々の暮らしの中で食の美しさを演出してくれます。“美味しい”をつくってくれるお気に入りの器とぜひ出会っていただきたいです。(文・中島)