つくるヒト-香西生孔
物心つく頃より、描く、作る事が日常にあり、今もその延長線上の日常を送られている香西さん。その年、その年で思い描く作品は異なり、インスタレーションという形をとった頃もあれば、今では人と作品がより近くなればという思いで、“使って楽しめる作品”を制作されています。凛々しい作品もあれば、穏やかな作品もある。香西さんの表現の幅の広さを感じます。
これまでキャンバスにアクリル絵の具でのびやかに描かれた大小の抽象画をメインとしていた香西さんが、身につけるアートを志された理由。それは「アートをもっと身近に感じて欲しかった」から。“使って楽しめる作品”をつくるために考えたアイテムは、カバンやポーチ、ブローチなどの私たちが日常使いしやすいモノでした。カバンを見せていただいたときに、「好みの金具備品に出会えなくて、本当に困っている!だからあえて、そういうものは作らないの」と、切実な悩みと振り切ったかのように作りたいモノだけを作るという姿勢はとても清々しく、妥協のないモノづくりに愛を感じました。
2021年には錢屋ギャラリーにて展示会を開催。
予期せぬ表現が出会った時に、伸びやかで深い作品が生まれます。しかしそれは香西さんにより計算されたものでもあります。目の前の1点しかない作品に熱量を注ぎ、その作品のことを理解する。そして輝く方法(バッグにするのか、ポーチにするのか、ブローチにするのか)を見つけ出すことができる、それが作家 香西生孔さんの魅力です。